原則として1人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、全て適用事業場となり
保険関係が成立しますので、事業主の方は加入手続を行う義務が生じます。
取締役等の役職についていても実際には他の労働者と同じような作業に従事している場合、労災保
険への任意加入「特別加入制度」が認められます。
特別加入制度には、中小事業主、一人親方などの自営業者及び特定事業従事者などが加入できま
す。なお、中小事業主等が特別加入するためには、次の2つの要件が必要です。
①雇用する労働者について保険関係が成立していること。
②労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していること。
アルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ないので、雇用保険に加入していなくても労災の
適用は受けられます。
令和2年4月1日から、すべての雇用保険被保険者について雇用保険料の納付が必要になります。
65歳以上の労働者も雇用保険の適用対象となっていますが、経過措置として平成29年1月1日から
令和2年3月31日までの間は、高年齢労働者に関する雇用保険料は免除されていました。
1週間の所定労働時間が20時間未満となったときは、喪失原因2「3」以外の離職での資格喪失とな
ります。
なお、所定労働時間の変更が臨時的・一時的(概ね3か月以内、育児のために時間を短縮した場合に
は、その子が小学校就学前)である場合には資格喪失の手続きは必要ありません。
社内で旧姓を使用する場合でも、雇用保険においては戸籍上の氏名を登録しなければならないた
め、氏名変更の手続きが必要になります。
平成19年の雇用保険法改正により、雇用保険の受給資格を得るために必要な被保険者期間が離職理
由によって異なることとなり、また、この離職理由については、直近の離職理由を判定する取り扱
いとなったため、ごく短い期間の離職証明書であっても離職者の受給手続きに大きな影響を与える
可能性があります。
また、明らかに受給資格がないと思われる離職票であっても、ほかの離職票をまとめることにより
受給資格を得られることがあるので、原則として離職証明書の提出が必要です。なお、離職者が雇
用保険の受給資格の決定を受ける際、必要な離職票の交付を受けていない場合には、公共職業安定
所から事業主に対して、離職証明書の提出を求めることがありますのでご注意ください。
雇用保険被保険者証は、被保険者であった期間の通算や、被保険者種類の決定など、適正な失業給
付を行うためのもので、被保険者ごとに固有の番号が付与されていますので、本人が他の事業所へ
転職した場合でも同じ番号を使用します。
このため労働者を雇用した時は前職歴に注意して、被保険者証の有無の確認を行う必要がありま
す。
前の会社で交付を受けた被保険者番号と、現在の会社で交付した被保険者番号とを確認して、違う
番号であれば、本人の不利益となる場合があることから、速やかに被保険者番号の統合をする必要
があります。
万一、本人が被保険者証を紛失した時は、「雇用保険被保険者証再交付申請書」を提出して再交付
手続を行うこともできます。
育児休業給付は、育児休業取得後の職場復帰を前提とした給付金なので離職を予定しているのであ
れば、取得することはできません。
育児休業給付を受けることができないにもかかわらず、不正な手段により育児休業給付の支給を受
けた場合は、処分を受けることとなります。
女性の場合は産後休業期間(産後8週間)終了後の翌日となります。
なお、男性の場合でも、育児休業給付を受けることは可能であり、この場合は配偶者の出産日当日
から支給対象となります。
社会保険料(健康保険・厚生年金)については、育児休業期間中の本人及び事業主負担分が免除さ
れます。
その就労が臨時・一時的であって、就労後はもとの育児休業に戻ることが明らかであれば、職場復
帰とはせず、休業中の臨時・一時的就労として、支給要件を満たせば支給対象になります。
また、この場合、支給申請時には支給申請書の「支払われた賃金額」欄への記入が必要です。
なお、支給単位期間において、就業していると認められる日数が10日以下である事が必要です。